東洋医学では体を「大自然の中の小さな自然(小宇宙)」ととらえます。 体は外の世界とつながり、季節や時の移り変わり、天候、環境などから影響を受けています。
診断法について、漢方医学特有の方法があり、五感を駆使して患者さんの状態を詳細に診ていきます。気血水や虚実など、さまざまな指標によって証を診断するための手段を「四診」といいます。具体的には望診(ぼうしん)、聞診(ぶんしん)、問診(もんしん)、切診(せっしん)の四つの方法があります。
望診
見て診察する視診のことで、顔色、体形、舌、皮膚などを観察します。舌診では、色や形、大きさ、苔のつき方などを見ます。
聞診
医師が聴覚や嗅覚を使い、患者さんの音声やにおいを診ます。具体的には、患者さんの発声、言語、呼吸や咳の様子などです。
問診
漢方では受診のきっかけの訴えの他に、便通や尿の状態、冷え、汗、食欲、精神状態、睡眠、生活の状況など、質問が多岐にわたります。
切診
体に触れて診察します。脈診は、手首の脈に触れ、脈の勢い、性状などを診ます。腹診は、横隔膜が張っているか、みぞおちに水がたまっていないか、お腹の筋肉の緊張状態などを診ます。
漢方薬
漢方薬は数種類の生薬を混ぜて作られており、それらの効果が合わさることで心身のバランスを整えていきます。粉末の漢方薬が飲みづらい方には、錠剤に変更、またはお茶に混ぜるなどの工夫があります。また、当院では基本的に保険診療による漢方薬を処方しています。保険適応外の漢方薬を希望される方には、必要に応じて他院をご紹介いたします。
養生とは
自分自身にとって、心地よいと感じるのはどんなことでしょうか?
養生とは、「気持ちがいい」ことを増やしていくことです。自身が本来持っている自然治癒力を取り戻すために、気持ちがいいことを思い出してみましょう。
食養生もその一つです。漢方の食養生では、その季節に採れたものを丸ごと食べることが勧められています。夏に採れるキュウリは熱のこもった熱い体を内から冷まし、反対に、秋冬に採れる人参などは体を温める役目をします。その時期、その土地に合った食材を取り入れていくことで、心身も次第に整っていきます。